初めて当院を受診される患者様は下記ページをご覧ください。

初めて当院を受診される患者様へ

裏手にあるダイワハウスパーキング様と提携しています。
当院の駐車場が満車の場合は、こちらの駐車場もご利用いただけます。

臨時駐車場Google Map

水前寺公園ペットクリニック INSTAGRAM

Category:脱毛

2021年5月12日

ウサギは犬・猫と違い足底に肉球がなく、その部位の皮膚は非常に薄いために、皮膚炎脱毛が多くみられます。

足底皮膚炎の症状は、基本的に褥瘡である人とウサギの皮膚構造は非常に似ており、ウサギの皮膚がヒトの褥瘡の研究に利用されています。

ウサギに足底皮膚炎が発生する際には、物理的・生体的・環境的要因がそれぞれ独立的、また複合的に関与します。

  1. 物理的要因:ケージ内の金属製の床材や、室内のフローリングなどの接触
  2. 体的要因:肥満や不活動/活動的な個体、また特定の種類(レッキス種など)
  3. 環境的要因:尿や便などによる床材の汚染
  4. ストレスなどによるスタンピング(とくに未去勢の雄)

治療

発生を予防するには、下記のような改善が必要となります。

  1. 未材を柔らかくし、後肢への荷重を軽滅する。また。ケージ内の寝床を厚くする。
  2. 体重のコントロールや運動を促す。
  3. 環境を清潔に保つ。
  4. 飼い主と相談し、去勢手術を考慮する。
  5. 二次的に細菌感染を併発している場合は、抗生物質などによる治療が必要となる。また、ティーツリーオイルを用いた感染防御や、包帯·医療用接着剤にて皮膚の保護を行う場合もあります。

私は、ダームワン(ビルバック社)を使用し比較的よい治療成績が得られています。

本製品はセラミドを配合しており、皮膚のバリア機能を保持することを目的としています。パット代用の足底被毛の発毛促進を期待し使用しています。

また、行動範囲を限定し、可能な限り(牧草などにて)床材を厚くするよう指導しています。

本疾患の完治は難しく、悪化を防ぐことが重要です。

そのことをしっかりと説明する必要があります。

悪化した際の予後

骨髄炎、健の損傷、膿場を呈した症例では、予後は骨への波及の程度と膿揚の拡大の程度とが関連します。

再発率は高く、激しい落痛がある症例では断脚や安楽死なども考慮する必要があります。

主な鑑別診断

  • 腫瘍
  • 膿瘍
  • 肉芽腫
  • 骨折
  • 肥満など

関連記事

執筆者

水前寺公園ペットクリニック院長

うさぎの病院、水前寺公園ペットクリニック院長 中田至郎

学歴

  • 熊本市立桜山中学校 卒
  • 私立真和高等学校 卒
  • 麻布大学獣医学部獣医学科 卒
  • 熊本大学医学教育部博士課程 卒業(医学博士)

所属等

  • 熊本臨床獣医師研究会
  • 一般社団法人 日本獣医エキゾチック動物学会 理事
  • 九州エキゾチック動物臨床研究会 会長
  • 日本獣医皮膚科学会
  • 公益財団法人「人と動物の会」
  • 麻酔外科学会
  • エキゾチックペットセーバーインストラクター(資格団体:一般社団法人日本国際動物救命救急協会)
  • 鹿児島大学共同獣医学部付属動物病院パートナー病院

詳しい経歴はこちら

SNS Share